ウランバートルの渋滞問題については、このブログでも何度か触れてきましたが、ウランバートルの街は「とにかく車が多い」です。道路インフラに対して、車の絶対台数が多いようです。
政府は対策として、ナンバープレートの末尾が奇数か偶数かによって走行できる日を制限する制度を導入したことがあるそうですが、それによって、奇数と偶数両方のナンバーの車を持つ人が増え、逆に車の台数がさらに増えたということを聞きました。かなり以前、北京でも同じような話を聞いたことがあります。
そして、こちらに来て驚いたのが、高級大型SUVの多さです。トヨタ・ランドクルーザー、アルファード、Jeepラングラー・ルビコンなど、日本でも高級車として知られるモデルが、ウランバートルでは驚くほどたくさん走っています。現地の平均月収は10〜15万円程度と聞いていたので、どうしてこんなに高価な車を所有できるのか、不思議でした。
そこで、モンゴル人の友人や知人に「なぜこんなに車が多いの?」「なぜ高級SUVが人気なの?」と聞いてみました。すると、いくつかの理由がわかりました。
ウランバートルで高級車が多い理由:
- 極寒対策としての移動手段
冬の寒さが厳しいため、外を歩かず車で移動したいというニーズが強い。 - 車はステイタスの象徴
地方からウランバートルに移住した人々は、まずゲル地区に住み、次は市中心部のアパートに移り、車を所有するのが“夢”とされている。 - 高級SUVは成功の証。遊牧民が駿馬を所有するのと同じ。
大型・高級車を所有することは、社会的ステータスを示す手段でもある。 - 悪路を走るための実用性
故郷が遠方にある人たちは、未舗装の悪路道を走る必要があり、頑丈なSUVが必須。 - 現金がなくてもローンで購入
現金がなくても車はローンで購入し、支払えなくなったら、車を手放せばいいだけ。だから高級車も所有できる。そうです。
これを聞いて、日本のバブル時代を思い出しました。若者が車を持つことに憧れ、デートには“いい車”が必須だった時代。今の日本では、車離れが進んでいると聞きますが、ここではまだ“夢”や“憧れ”の対象として車が存在しているように感じます。
車が多いと、当然ながら駐車スペースを探すのも大変です。ウランバートルでは、2重駐車や、駐車場の通路に堂々と停めている車もしばしば見かけます。「こんな停め方して、中の車はどうやって出るのかしら?」と不思議に思っていたのですが、その謎が最近解けました。
ほとんどの車のフロントガラスには携帯電話番号が書かれた紙が貼られています。自分の車が他の車にふさがれて出られないときは、その番号に電話をかけて、車をどけてもらうという仕組みです。だから、先生や職場の人も常に電話を気にしていて、仕事中でも電話が来ればすぐに車を移動しに出ていきます。
この仕組みが意外とうまく機能していて、モンゴルらしい合理性だなと感心しました。個人の携帯番号が外から見えるようになっていても、トラブルに巻き込まれることはないのか心配になって尋ねてみたところ、「問題ない」とのこと。治安の良さを感じるエピソードでもあります。
土地が変われば、交通の常識や価値観も変わる。そんなことを改めて実感させられるウランバートルの車事情でした。






今日のモンゴル語
Улаанбаатарт автомашин эзэмшигчид дандаа машиныхаа шилэн дээр гар утасны дугаараа бичдэг.
( Ulaanbaatart avtomashin ezemshigchid dandaa mashinykhaa shilen deer gar utasny dugaaraa bichdeg.)
ウランバートルでは車の所有者は自分の携帯電話番号をフロントガラスに置いています。
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