友人のChinbatさんがキュレーターを務めたアート展が、モンゴル国立アートギャラリーで開催されていたので、足を運んできました。
K高専で来年度の新入生向けビデオ撮影を終えた平日の午後、久しぶりに生徒たちに会って楽しい気分でアート展に行きました。
山の絵画展「уулсын чуулган(山々の集い)」
まず2階の小さな展示スペースでは、「уулсын чуулган(山々の集い)」というタイトルの山岳風景をテーマにした作品展が開かれていました。
モンゴルの山々だけでなく、日本の富士山を描いた作品もあり、思わず足を止めて見入ってしまいました。モノトーンの水墨画のような作品、黒地にゴールドで描かれた山々——どれもシックでクールな印象です。
ある作品を見て「富士山に似ているなぁ」と思ってタイトルを見ると、
“Фүжи уул 2018, он (Mt. Fuji 2018)” と書かれていて驚きました。まさかモンゴルで富士山を描いた作品に出会えるとは。
3階: “INCOMPLETENESS THEORY”
続いて3階へ。いよいよ本命のアート展、“INCOMPLETENESS THEORY” です。
最初に目に入ったのは、トランペットを毛布のような柔らかい質感で包み込んだような立体作品。
同じようなテクスチャーの作品がいくつか並び、よく見ると小さな金属パーツが散りばめられています。透明なブルーの作品、微妙なグラデーションのあるホワイトの作品、その作品の表面には凹凸があり、絵の具を高いところから垂らしたような質感です。制作現場のビデオもあり、さまざまな手法を使っている様子が映されていました。
作者の意図を十分に理解することはできないけれど、作品を眺めていると自分の身体が違う次元にいるような、不思議な感覚に包まる空間でした。
しばらく作品を眺めていると、若い男性が近づいてきて、作品リストの紙を手渡してくれました。この展示のアーティスト本人でした。
「Chinbatさんに勧められて来ました」と伝えると、
“Wow, thank you.” と笑顔で答えてくれました。
展示空間で静かに流れている音楽は、日本人アーティストのものだそうで、制作中にもいつも聴いているとのこと。作品やインスピレーションについて直接話を聞くことができました。
展示コンセプトの紹介より:
“INCOMPLETENESS THEORY(不完全性理論)”というタイトルは、20世紀のオーストリアの数学者クルト・ゲーデルの不完全性定理から着想を得たものです。
「理論」とは、証明できないけれど真である命題が存在するという、真理の本質への洞察であり、この概念はアーティスト・ドルジデレメレンの世界観と芸術哲学に深く共鳴しています。
彼の作品は何かを証明するのではなく、感情・直感・洞察が交わる共有空間を提案し、そこから進化を続けています。
同じフロアの写真展
アート展の後、同じフロアで開かれていた写真展にも立ち寄りました。
テーマは、ゲル地区に暮らす子どもたち
親がいなかったり、学校に通えなかったりと厳しい環境にある子どもたちの様子を写真や映像で伝える展示でしたが、そこには悲しみだけではなく、夢や希望、日常の楽しみが映し出されていました。
「歌手になりたい」「写真家になりたい」——
貧しくても、子どもたちは生き生きとしていて、兄弟や友達とゲルの中でささやかな喜びを見つけて過ごしている様子が伝わってきました。
帰りに以前から気になっていたカフェでゆっくりランチをしました。とても満たされた午後でした。アートは、世界のどこにいても、いつも感性を刺激して豊かな気持ちにしてくれます。










今日のモンゴル語
Би уран зургийн үзэсгэлэнг үзсэн. Сайхан орон зай байсан.
(Bi uran zurgiin üzesgeleng üzsen. Saikhan oron zai baisan.)
アート展を鑑賞しました。美しい空間でした。
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